不眠症とは
不眠症は睡眠障害のひとつに数えられ、その中でも最も多くの患者様が訴えている症状でもあります。「寝つきが悪い」、「夜中や早朝に目が覚める」、「熟睡感が無い」といった睡眠のトラブルは、やがて日常生活に支障をきたすようになります。このような状態が慢性的に続くようであれば、不眠症を疑ってみる必要があります。
なお不眠症は、何時間以上寝たかどうかで定義するものではありません。症状を訴える方が安眠・快眠できないと自覚する状態が続くことで、不眠症と診断されます。そのため、7時間以上眠っている方が不眠症と診断されることもあり、3~4時間の睡眠でも日常生活に支障をきたさないという方は問題なしということになります。
定義がどうであれ、不眠症は誰もがなり得る症状であり、うつ病など他の精神疾患の症状の一つとして不眠症が現れることもあります。寝つきの悪さを睡眠薬で解決するだけではなく、併せて根本的な原因を探ることも大切です。
このような症状がみられたらご相談ください(例)
- 寝つくまでに時間が掛かるようになった
- いったん寝入っても、夜中に何度も目が覚める
- かなり早く目覚めるようになり、その後も寝つけない
- 睡眠時間は確保しているが、眠りが浅く、眠った気がしない
- よく眠れないことで
〇 気分が落ち込んだり、イライラしたりする
〇 注意力や集中力などが低下し、日常生活に支障がある
〇 日中に強い眠気に襲われる
〇 体が不調である(頭痛、肩こり、胃腸の痛みなど)
〇 疲れやすく、やる気が出ない
- 「また今夜も眠れないのではないか」などと睡眠のことが気になる
4タイプに分類される不眠症
不眠症は、入眠障害・中途覚醒・熟眠障害・早朝覚醒の4つのタイプに主に分類されます。詳細は以下の通りです。
入眠障害
主な原因が心配事やストレスなどで、寝つきが悪く、なかなか眠れないタイプ(30分~1時間以上)です。ただし、一度寝ついてしまえば朝まで眠れることが多いです。入眠障害は、不眠症の中でも一番多い症状です。
中途覚醒
寝つきは良いが、寝ている途中にトイレなどで起きてしまうと、その後眠れなくなってしまいます。そのため、熟睡感が得られないタイプです。
熟眠障害
十分な睡眠時間をとっているにも関わらず眠りが浅く、目覚めたときに熟睡感が乏しいタイプです。高齢者や神経質な人に多く見受けられます。
早朝覚醒
寝つきは良く、すぐ眠りにつけます。しかし朝早く目が覚めてしまうと、そのまま眠れなくなってしまうタイプです。うつ病の患者様や高齢者の方によくみられます。
当院での治療について
仕事に支障をきたすなど、日常生活で不都合が生じるようになると不眠症は治療が必要になります。治療法は不眠の原因によって内容は異なりますが、主に薬物に頼らない生活習慣の改善を中心とした非薬物療法(生活習慣の改善)と薬物療法が中心になります。
非薬物療法
生活習慣の改善が中心となる不眠治療です。具体的には、毎朝、朝日を浴びることで正確な体内時間を設定する、適度な運動をして眠りに入りやすくする、昼寝をしないといったことや、室温、部屋の明るさなどを調節することにより睡眠が得られやすい環境にします。このほかにも音楽や読書などによるリラックスできる時間をつくる、睡眠時間の4時間くらい前に食事を済ませ、入浴は1~2時間前にする、といったことを行います。
薬物療法
薬物療法では、不眠の症状によって、使用する睡眠薬のタイプも変わっていきます。途中で起きてしまう、早く目が覚めてしまう、寝つきが悪いなどの症状に応じて、それぞれに相応しい睡眠薬が処方されます。このほか、医師が必要と判断した場合、抗うつ薬や抗不安薬などが使用されることもあります。いずれにしましても合理的薬物療法を取り入れています。